バルーン肺動脈形成術(BPA)

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慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する治療

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は、古い血栓(血液の固まり)が肺動脈を慢性的に狭窄・閉塞する病気です。広範囲の肺動脈が狭窄・閉塞すると、肺動脈圧が上昇して呼吸困難や喀血(かっけつ)や失神(しっしん)など心不全症状を起こします。早期に適切な治療を受けなければ、生命に関わるといわれ、国が1998年に難病認定しており、約1800人の患者様が特定疾患として登録され治療を受けております。予後は肺動脈圧に依存し、平均肺動脈圧が30mmhg以上となると5年生存率は50%以下と予後不良です。

肺動脈の近位に血栓がある中枢型CTEPHの場合、外科的に血栓を摘出する肺動脈血栓内膜剥離術(PEA)が第一選択治療です。しかしPEAはかなり侵襲性の高い、かつ熟練した技術を要する特殊な手術で、高齢者や他の重篤な疾患を合併している方には不向きです。また末梢型CTEPHでは一般的に外科手術が困難です。新しい治療法であるバルーン肺動脈形成術(BPA)は、末梢型CTEPHや外科手術適応外の中枢型CTEPHにとても有効な治療法です。
獨協医科大学日光医療センターでは、BPAの適応を十分に吟味し、合併症を最小限度に抑えるために数段階に分けて治療を進めております。肺動脈は冠動脈と異なり柔らかく傷つきやすいので慎重に扱い、実際の血管系よりも少し小さめのバルーンで拡張します。1回の手技(約2時間)で平均5.5本の血管病変を拡張します。術後数時間は合併症予防のためマスク式陽圧呼吸を行います。数回のBPAで平均肺動脈圧が30mmhg未満となりましたら、積極的有酸素運動療法と筋トレを開始いたします。この分野のリハビリはまだエビデンスに乏しく、患者さんにとって最良のプログラムを個別に作成していきます。

■問い合わせ先:循環器内科水曜午前 外来 安 隆則

 

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